新刊出版『〈洗う〉文化史-「きれい」とは何か』
2022年2月に、国立歴史民俗博物館・花王株式会社(編)『〈洗う〉文化史-「きれい」とは何か』(出版社:吉川弘文館、ISBN:978-4-642-08406-2)が刊行されました。歴史学・民俗学を主たる研究分野とする研究機関である国立歴史民俗博物館と、清潔・衛生に関する多様な製品で知られている花王株式会社との共同研究という、人文学系の諸分野では大変珍しい産学協同による共同研究の成果です。日本を中心としながら、タイおよびインドネシアとの比較を試みるという構成の共同研究に私(金子正徳・国際学部特任准教授)も参加し、本書ではインドネシアに関する章を担当しました。
本の概要については出版社の説明を引用することとします。
「私たちはなぜ「洗う」のか。洗うという行為、清潔という感覚を古代から現代にいたるまでさまざまな事例を取り上げ、文献・絵画・民俗資料から分析。また、儀礼・信仰の世界での「祓う」「清める」といった行為の意味を追求し、精神的な視野も交えて、日本人にとって「きれい」とは何かを考える。現代社会の清潔志向の根源を、歴史と分析科学から探る。」(http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b598240.html)
この本は一般向けの書籍です。歴史学、民俗学などの多様な研究者が執筆しているほか、花王株式会社の方々もそれぞれの専門性を活かしたコラムを書いている点がユニークな特徴です。
本学の学生たちにとって、この本が、身体や衣服を「洗う」という行為をめぐる歴史的・文化的な変遷、そして現代的な意味を多様な角度から捉え直し、私たちの生活の中で「もはや当たり前のこと」をあらためて考えるきっかけとなればと希望します。