2022年12月3日(土)に、私たち外国語学部森ゼミナールのメンバーは京都府宇治市伊勢田町のウトロ地区を訪れました。ウトロ地区は、1940年から日本政府が推進した「京都飛行場建設」に集められた在日朝鮮人労働者たちの飯場跡に形成された集落で、住人の方々は劣悪な生活環境や差別の目に苦しみながらも助け合いながら生活してきました。
まず初めに、ウトロ地区平和祈念館で、金秀煥さん(平和祈念館副館長)からウトロ地区の歴史や現状、ウトロ地区で生きる人々の心境についてのお話を伺いました。ここでは、ウトロ地区では水道整備がなかなかされず、浸水被害が多いということ、それでも住人達は、共生こそが生きる道だと考え、「常識」にとらわれずに自分たちの権利を主張してきたことなどについて学習をしました。
続いて、平和祈念館の展示コーナーで、実際に展示パネルを見て、ウトロ地区の歩んだ歴史や、ウトロ地区で生きた人々の声に触れました。
その後、ウトロ地区全体を歩いて、2021年8月30日に発生した放火事件の跡地にも訪れました。この事件により住宅や空き家など7棟、祈念館で展示される予定だった資料50点が焼失しました。
最後に私たちが事前に送った質問に金副館長が答えて下さりました。憎悪感情を抱いたり、ヘイトクライムを唱える人たちとどのように付き合っていけば良いかという質問に対しては、「その個人に関わるよりも、そのような人々を生んだ社会に働きかける必要があると感じる。もし個人に関わる機会があれば、その人の意見をまずは受け入れることも大切だと考える」と答えられました。また、今後ウトロ地区を住民たちが力をもらえるような、楽しく賑やかな場所にしたいとのことでした。
実際にウトロ地区に足を運んでみると、インターネットで調べるよりも直接伝わってくるものが多くて、とても考えさせられる良い機会になりました。差別や偏見、ヘイトクライムのない世界にするために、また、マイノリティーの人々が幸せに生きられるように私たちにできることは何かを考えるきっかけともなりました。
(摂南大学 外国語学部 森ゼミナール アダムス小百合)