2023年2月14日(火)に、私たち外国語学部森ゼミナールは、韓国のソウル市麻浦〔マッポ〕区に位置するテレビ放送局JTBCを訪問しました。記者との面会、スタジオ見学をさせてもらいました。
JTBCとは
JTBCは中央日報系列のテレビ放送局です。総合編成チャンネルですが、限られた視聴者にではなく一般向けに広く放送しています。JTBCという社名は「中央東洋放送(Joongang Tongyang Broadcasting Company)」の略であり、その前身は、1964年から1980年に存在していた東洋放送(TBS)です。2011年12月1日に開局し、KBSやMBCなどの地上波と同様にニュースからドラマ、バラエティ、教養プログラムまで様々な番組を製作しています。JTBCで放送している代表的なバラエティ番組として『知ってるお兄さん(아는 형님)』『ヒョリの民宿(효리네 민박)』などがあり、ドラマとしては『梨泰院クラス(이태원 클라쓰)』などが挙げられます。有名な番組ですので、知っている人も少なくないと思います。
シン・アラム記者へのインタビュー
私たちは、JTBC側の配慮で、2013年からJTBCで記者として働いているシン・アラム記者(調査報道チーム)の話を聞くことができました。シン記者と面会できたのは20分程度の短い時間でしたが、私たちゼミメンバーの質問に丁寧に答えてくれました。
シン記者が言うには、韓国でも日本と同様に若者の「テレビ離れ」が進んでおり、その対策としてJTBCは常に新しいことに挑戦しているとのことでした。例えば、若者がよく見るようなティックトック(TikTok)やユーチューブ(YouTube)を使ったライブ放送など、視聴者とコミュニケーションが取れる通路と機会を多数作ることで、若者の興味を惹きつける努力をしているとのことでした。また、ウェブとテレビ放送のコンテンツを合わせて、相乗効果が出るような工夫もしているようです。バラエティ番組やニュースなどさまざまなことを放送している中で、最近JTBCが特に力を入れているものは、ドラマやNetflixへのコンテンツ提供、芸能プログラムであり、このことからも時代の流れを掴み流行に沿って放送コンテンツを制作しているということがわかりました。
ゼミの指導教員である森准教授が「韓国では、ニュースサイトを含めて様々な報道機関が調査報道(Investigative journalism)を実践し成果を出してきた。そのような状況の中で、JTBCはどのようなことに力点を置いて調査報道をしているのか」と質問したところ、シン記者は「日常的な話題や現象を深く掘り、そこにどのような問題があるのかを追及するようにしている」と答え、最近取材しているテーマを交えながら分かりやすく説明してくれました。
シン記者の話を聞きながら、JTBCの社員たちは、人々に寄り添うことを大切にし、視聴者のニーズや時代の変化に合わせて挑戦し続けている放送局だという印象を受けました。
【シン記者を囲んで記念撮影】
スタジオ見学
シン記者との面会の後、コミュニケーションチーム職員のキム・ガンウンさんがJTBC内を案内してくれました。初めに見学したのは、報道番組を編集する「サブ」(副調整室)でした。大きなモニターや画面が多数あり、番組撮影の様子を見ながら時間調整や編集をしているそうです。
【ニュース編集のためのサブ(副調整室)】
【副調整室を見学するゼミメンバー】
その後、ニュース番組の制作スタジオに案内してもらいました。ここには、ニュース番組の出演者が座る椅子や机などのセットがあり、臨場感があふれていました。また、テレプロンターや、移動型の大型撮影カメラなどがあり、撮影の裏側を知ることができました。
【JTBCのニュース番組『事件班長(사건반장)』のセットに座らせてもらいました】
最後に見学したのは吹き抜けの3階建てのエリアで、2階と3階にはデスクがあり、スタッフが作業をしている様子を伺えました。1階には、ニュースを始めとしたさまざまな番組を撮影できる大きなスタジオがあります。どのような設備で撮影しているのかじっくり学ぶことができました。番組制作の裏側を見ることができたのは初めてで、貴重な機会となりました。
【とても広いスタジオでした】
今回のJTBC訪問を通して、なかなか会うことが難しい方に話を聞くことはもちろん、実際の制作スタジオなど普通は入ることができない場所も見学することができ、とても貴重な経験をすることが出来ました。JTBC見学を通して、韓国のテレビ番組制作についてより深く理解することが出来ました。今回の経験を、私たちゼミの共同研究に充分に活かしていきたいと思います。訪問を歓迎してくださったJTBC関係者の皆様に、この場を借りて心よりお礼を申しあげます。
【いただいた記念品を手に、JTBCの玄関で記念撮影】
(摂南大学 外国語学部 森ゼミナール アダムス小百合・黄愛美)