私たち外国語学部森ゼミナールは、2023年1月16日(月)にラジオDJ・テレビVJ・イベントMC・韓国ポップカルチャー評論家でいらっしゃる古家正亨(ふるや・まさゆき)さんをゲストスピーカーとしてお迎えし、特別講義を開催しました。古家さんは、K-POPブームをはじめ日本における韓国ポップカルチャーの定着に貢献なさった第一人者といっても過言ではありません。現在も、イベントのMCや番組や執筆活動などを精力的に行っていらっしゃいます。
私たちゼミ生は韓国文化についての共同研究をゼミ内で進めているため、今回、お忙しい中で古家さんにキャンパスにお越しいただき、ゲスト講義とインタビューを行いました。
古家さんは、ゲスト講義&インタビューを始める前に気になる事をおっしゃっていました。それは、自身の活動について「自分のようなスタイルで、韓国大衆文化を広める活動をしている方は他にあまりいないとは思います。自分にできる事として、日韓関係に関する情報を良い部分も悪い部分もきちんと伝えないといけないと感じています。ただ自分はおじさんなので(笑)活動には限界があるとも感じています。皆さんのような未来ある若者たちが韓国大衆文化に興味を持ち、日韓関係にかかわる活動を続けてくださるとありがたいです」とユーモアを交えながらも、私たちの研究を後押ししてくださいました。
当日は、ゼミ生の一人である黄愛美さんがゼミ共同研究の紹介をし、他のゼミ生が「MCのお仕事」「韓国メディア」「K-POP」「韓国ドラマとバラエティ」などの項目について順に質問しました。一つ一つの質問に対し、韓国の歴史や最近の事実を踏まえながら、分かりやすく解説してくださいました。例えば「韓国のネットワーク事業がなぜ強くなったのか?」という質問に、1990年代に韓国の政策として「サイバーコリア 21」が行われたことを指摘なさいました。また、K-POPが世界的に注目されるきっかけとしても、まだ「YouTube」が普及していない時に、CDの売り上げを主な収入源にしていた方向性を変え、アーティストのMV(ミュージックビデオ)を無料で公開したケースを紹介してくださいました。このような事例を挙げながら「韓国のインターネットをベースとした産業は、時代を先取りしただけでなく、『何かを犠牲にして何かを得る手法』によって成功につなげられたと感じます。韓国は時代の流れを読み、次に取るべき行動のタイミング、そして何より運が良かった点もあったのではないでしょうか」と指摘なさいました。また、K-POPのこれからについて伺うと、「K-POPのアーティストの個性は、多様性として捉えられるようになっている。そのうちK-POPというジャンルは無くなり、アーティストそのものが注目されると思います。例えばアリアナ・グランデやマイケル・ジャクソンのように、洋楽という枠組みを超えた存在にK-POPアイドル達もなっていくと思いますし、それが正しい成長の仕方だと感じます」とおっしゃっていました。
古家さんにインタビューをして印象的だったのは、ネットの記事やテレビなどのありふれた情報や切り取った一部の情報や憶測ではなく、事実に沿いながら私たちにわかりやすいように真摯に答えてくださる姿勢でした。古家さんにしか伺えないお話も多く、大変貴重な経験だったと感じます。大変勉強になりました。
お忙しい中、ゼミのゲストスピーカーをお引き受けくださった古家さんに心から感謝申し上げます。
(外国語学部森ゼミナール 原口恭)