ソウル歴史博物館を訪問しました(森ゼミナール)



UPDATE 2024-04-28

私たち外国語学部(国際学部)森ゼミナールは、2024年2月15日(木)に韓国のソウル特別市鍾路区に位置するソウル歴史博物館を訪問しました。ここは時代別に4つのゾーンに分かれており、様々な展示を通して韓国のソウル市の約600年の歴史と文化を勉強できます。

 

Zone1:1392~1863 朝鮮王朝時代のソウル

第1ゾーンでは、1392年から1863年までの「朝鮮時代のソウル」が紹介されていました。朝鮮王朝建国後に太祖李成桂(イ・ソンゲ)が王都と定めた漢陽は二度の戦乱で大きな被害を受けましたが、復旧作業を経て朝鮮王朝後期に次第に繁栄していき、次第に漢陽は経済の中心地となり、同時に思想や学問、芸術が盛んな場所になったそうです。館内には、当時の漢陽の町並みや伝統工芸品、貴重な資料などが展示されており、当時の人々の暮らしをリアルに再現した大きな展示もありました。朝鮮王朝時代の人々の生活スタイルを感じられる空間でした。第1ゾーンの最後には、朝鮮王朝時代に漢江を従来した「黄布帆船」が再現されており、あまりの大きさに衝撃を受けました。

Zone2:1863~1910 開港と大韓帝国期のソウル

第2ゾーンでは、開港と大韓帝国期のソウルについて展示されていました。19世紀半ばから朝鮮半島は日本を始めとして世界列強に門戸を開くようになり、ソウルは伝統的な首都から近代的後市に変わっていきました。西洋風の建物が建てられ、道路が新設・拡張されたほか、路面電車が走るようになるなど新たなコンセプトや文物が導入されました。一方、自主的改革の一環として1897年に大韓帝国建国が宣布され、慶運宮(徳寿宮)は皇宮となり、大韓帝国の象徴である圜丘壇が建立されました。ソウルは、東洋的な伝統と西洋的な近代が共存する都市へと徐々に様変わりしていきました。

ゾーン2では、外国勢力が開港を求めるに従って、進歩的知識人たちが中国中心の世界観から脱却し成長しようとしている姿が展示されており、国全体が伝統的な考え方から少しずつ「近代」に染まっていく様子が表現されていました。また、西洋風の建物が建ち、路面電車が敷かれ、電柱や街灯が設置されるなど街の様子が変化し、現代的な街並みに少しずつ近づいている様子が展示物からわかりました。このような様子をこれまで見たことがなかった私たちにとってはとても印象的でした。

Zone3:1910~1945 日帝強占期のソウル

ゾーン3では、日帝強占期のソウルが展示されていました。日帝強占期とは韓国で使用されている用語であり、日本による朝鮮半島植民地支配期(1910~1945年の35年間)を指します。1910年に大韓帝国が日本に「併合」された後、ソウルは京畿道所属の京城府に格下げされました。当時、ソウルには植民地支配のための主要機関が集中的に建設され、1926年には景福宮内に天皇の直属機関である朝鮮総督府が建てられました。

この時代にもソウルは引き続き首都の役割を果たしながら急速な近代化が進みましたが、日本人中心に行政が運営され、日本人居住地である南村に経済や文化が集中するなど社会構造が大きく変化し、韓国人(朝鮮人)に対する社会的差別が恒常化しました。展示によると、人々は供出を強いられて財産を略奪され、軍隊や労役などに強制動員されたほか、民族性の抹殺を図る皇国臣民化政策によって精神的にも抑圧されたということです。

このゾーンの見学では、ソウルは伝統的な都市空間が絶えず改造され植民地支配しやすい都市へと再編が進む一方で、抗日運動・独立運動を行い民族文化を守るために努力を続けた人々の姿が描かれていたことが印象的でした。また、日本と韓国のこのような歴史を実際に資料や展示物で見ることで新たに衝撃を受けると同時に、日本による朝鮮半島植民地支配期は今後私たちが研究をするうえで忘れてはならないことだと感じました。

Zone4:1945~2010 大韓民国の首都ソウル

ゾーン4では1945~2010年代の大韓民国の首都であるソウルについての資料が展示されていました。1945年の植民地支配からの解放、朝鮮戦争時代のソウルの風景など、博物館でしか感じ取ることのできない当時の様子を知ることができました。さらに、1960年代から始まる国家主導の経済開発により急激に現代化へと進み、人口増加に伴いソウルは大きく拡大し、江南以南までソウル全域に都市基盤施設が整備されていった過程の写真や資料を閲覧しました。開発前の江南の写真は、現在の姿とは全く違うもので、このような経済開発が行われている際の都市の過密化や地域格差、環境汚染などの様々な問題が引き起っていたということが印象に残りました。

また、ソウル市民の流した汗が高度成長を支えた一方で、そのようなソウルの姿や暮らしは後に文化コンテンツの題材となっていったようです。巨大都市に成長したソウルは、1988年ソウルオリンピックを経ながら、1990年代からはミレニアム時代の幕開けとなり現代都市へと生まれ変わっていったようです。このような移り変わりを資料を通して学ぶことが出来ました。

今回のソウル歴史博物館の訪問を通して、現在のソウルが形成されるまでの過程を学ぶことができました。韓国に対する理解を、ソウルという首都が歩んだ歴史を通して深めることができた良い機会でした。

(摂南大学 外国語学部/国際学部 森ゼミナール 益田優笑・青山実由・石田みほり・夫馬涼葉)