国際学部の授業「世界を学ぶ」は「世界と向き合うために必要な考え方の基礎」を身に着ける1年生の必修科目です。2024年度は、「世界の食文化」(担当:加来准教授)、「地理学的な観点からの考察」(担当:大谷講師)、「日本と東アジア諸国との関係」(担当:森准教授)の3つを主なテーマとし、それぞれの教員によるオムニバス形式で進めました。
2024年4月19日(金)の授業では、ゲストスピーカーとしてベトナム社会科学院南アジア・西アジア・アフリカ研究所副所長(Deputy Director General, Vietnam Institute for South Asia, West Asia and African Studies (ISAWAAS) , Vietnam Academy of Social Sciences (VASS))のPhan Cao Nhat Anh(ファン・カオ・ニャットアイン)博士をお招きし、「日越(日本―ベトナム)外交関係」というテーマでオンライン講義をしていただきました。
ニャットアイン先生は、日本社会論(主に福祉政策)がご専門で、日本研究のキャリアは20年以上です。近年は、西南アジア諸国のみならず、アフリカを含めた国際関係についても活発に研究をすすめていらっしゃいます。VTV(ベトナムテレビジョン)を始めとした主流メディアのニュース番組にも多数出演され、特に日越関係や東アジア国際関係について解説をご担当です。
ニャットアイン先生は講義で、2024年が日越外交関係樹立50周年であり、ベトナムにとって日本は「包括的戦略的パートナーシップ国(外交上最も重要視される2国間関係)」であることに触れ、大学1年生の理解が深まるように日本語で平易にお話しくださいました。ベトナム中部の都市ホイアンに16世紀末に形成された日本人街や有名な「来遠橋(日本橋)」(ベトナムの貨幣2万ドンに描かれている)の存在、近代における日越の人的交流、1940年の日本軍によるベトナム占領、ベトナム戦争下での日本との関係、日越国交正常化後の日本のベトナム支援(政府開発援助や医療援助など)に至る日越関係史の話を学生は興味深く聞いていました。質疑応答の時間には、学生がベトナムにおけるポップカルチャーの状況を尋ねるなどしました。
講義後、学生からは「ベトナム語を少し学んで、ベトナム人と交流してみたいと思いました」「普段ベトナムについて触れることがなく、今日のこの機会でベトナムと日本の外交関係について知ることができ、親しみが湧いた。これからもっと深く知って行きたい」といった感想が寄せられました。 [文・写真:(国際学部准教授 森類臣)]