韓国のテレビ放送局JTBCを訪問しました



UPDATE 2023-04-04

2023年2月14日(火)に、私たち外国語学部森ゼミナールは、韓国のソウル市麻浦〔マッポ〕区に位置するテレビ放送局JTBCを訪問しました。記者との面会、スタジオ見学をさせてもらいました。

JTBCとは

JTBCは中央日報系列のテレビ放送局です。総合編成チャンネルですが、限られた視聴者にではなく一般向けに広く放送しています。JTBCという社名は「中央東洋放送(Joongang Tongyang Broadcasting Company)」の略であり、その前身は、1964年から1980年に存在していた東洋放送(TBS)です。2011年12月1日に開局し、KBSやMBCなどの地上波と同様にニュースからドラマ、バラエティ、教養プログラムまで様々な番組を製作しています。JTBCで放送している代表的なバラエティ番組として『知ってるお兄さん(아는 형님)』『ヒョリの民宿(효리네 민박)』などがあり、ドラマとしては『梨泰院クラス(이태원 클라쓰)』などが挙げられます。有名な番組ですので、知っている人も少なくないと思います。

シン・アラム記者へのインタビュー

私たちは、JTBC側の配慮で、2013年からJTBCで記者として働いているシン・アラム記者(調査報道チーム)の話を聞くことができました。シン記者と面会できたのは20分程度の短い時間でしたが、私たちゼミメンバーの質問に丁寧に答えてくれました。

シン記者が言うには、韓国でも日本と同様に若者の「テレビ離れ」が進んでおり、その対策としてJTBCは常に新しいことに挑戦しているとのことでした。例えば、若者がよく見るようなティックトック(TikTok)やユーチューブ(YouTube)を使ったライブ放送など、視聴者とコミュニケーションが取れる通路と機会を多数作ることで、若者の興味を惹きつける努力をしているとのことでした。また、ウェブとテレビ放送のコンテンツを合わせて、相乗効果が出るような工夫もしているようです。バラエティ番組やニュースなどさまざまなことを放送している中で、最近JTBCが特に力を入れているものは、ドラマやNetflixへのコンテンツ提供、芸能プログラムであり、このことからも時代の流れを掴み流行に沿って放送コンテンツを制作しているということがわかりました。

ゼミの指導教員である森准教授が「韓国では、ニュースサイトを含めて様々な報道機関が調査報道(Investigative journalism)を実践し成果を出してきた。そのような状況の中で、JTBCはどのようなことに力点を置いて調査報道をしているのか」と質問したところ、シン記者は「日常的な話題や現象を深く掘り、そこにどのような問題があるのかを追及するようにしている」と答え、最近取材しているテーマを交えながら分かりやすく説明してくれました。

シン記者の話を聞きながら、JTBCの社員たちは、人々に寄り添うことを大切にし、視聴者のニーズや時代の変化に合わせて挑戦し続けている放送局だという印象を受けました。 

【シン記者を囲んで記念撮影】

スタジオ見学

シン記者との面会の後、コミュニケーションチーム職員のキム・ガンウンさんがJTBC内を案内してくれました。初めに見学したのは、報道番組を編集する「サブ」(副調整室)でした。大きなモニターや画面が多数あり、番組撮影の様子を見ながら時間調整や編集をしているそうです。

【ニュース編集のためのサブ(副調整室)】

【副調整室を見学するゼミメンバー】

その後、ニュース番組の制作スタジオに案内してもらいました。ここには、ニュース番組の出演者が座る椅子や机などのセットがあり、臨場感があふれていました。また、テレプロンターや、移動型の大型撮影カメラなどがあり、撮影の裏側を知ることができました。

 

【JTBCのニュース番組『事件班長(사건반장)』のセットに座らせてもらいました】

最後に見学したのは吹き抜けの3階建てのエリアで、2階と3階にはデスクがあり、スタッフが作業をしている様子を伺えました。1階には、ニュースを始めとしたさまざまな番組を撮影できる大きなスタジオがあります。どのような設備で撮影しているのかじっくり学ぶことができました。番組制作の裏側を見ることができたのは初めてで、貴重な機会となりました。

【とても広いスタジオでした】

今回のJTBC訪問を通して、なかなか会うことが難しい方に話を聞くことはもちろん、実際の制作スタジオなど普通は入ることができない場所も見学することができ、とても貴重な経験をすることが出来ました。JTBC見学を通して、韓国のテレビ番組制作についてより深く理解することが出来ました。今回の経験を、私たちゼミの共同研究に充分に活かしていきたいと思います。訪問を歓迎してくださったJTBC関係者の皆様に、この場を借りて心よりお礼を申しあげます。

 

  【いただいた記念品を手に、JTBCの玄関で記念撮影】

(摂南大学 外国語学部 森ゼミナール   アダムス小百合・黄愛美)

アメリカのコミュニティカレッジと国際協働オンライン学習(COIL)プロジェクト



UPDATE 2023-03-27

国際学部が取り組んでいる国際協働オンライン学習プログラム(Collaborative Online International Learning:COIL)活動の一環で、2022年度後期(COIL活動期間は10月上旬から12月中旬の9週間)に、外国語学部(現国際学部)の3年生6名と4年生7名がアメリカ合衆国メリーランド州のHoward Community College(William Lowe先生のクラス9名)と協働学習をしました。テーマは、Short Stories(短編物語)で、Padletという教育用ICTツールを用い、非同期型で交流をしました。

最初の2週間は、お互いのことを知るために、自己紹介やキャンパス&大学周辺紹介の動画を交換しました。一番質問が多かったのは、菅原神社での参拝の仕方(や意味)で、一番反響が大きかったのは、キャンパス内の駐輪場(赤チャリ群)と周辺のお酒の自動販売機でした。意外なところに反応があるというのも新しい発見でした。

第3週目からは、日本とアメリカの短編をセットで3組読んでいきました。Padlet上で物語分析、質問、コメント、関連情報などを投稿し合いました。このプロジェクト(クラス)に参加したHoward Collegeの学生さんは文学に興味がある人ばかりで、中には将来作家になりたいという人もいたので、彼らの物語分析はとても深く、また、質問も鋭く、摂大生には大変刺激になるものでした。最初は向こうから来るコメントや質問の量に圧倒されました。スケジュールが密で迅速な反応が必要だったこと、語学ではなく内容重視のやりとりだったことから、4週目からはDeepL Translateなどの自動翻訳機の使用も許可しましたが、そこからぐんと議論が深まった気がします。どうしても最初から英語で書こうとすると時間がかかりすぎてしまい、表現や内容も限られてしまっていたのですが、自動翻訳機を使うとこちらからの問題提起やコメントも深くなり、より意味のあるやり取りができたようです。最終的に英語でのインプットやアウトプットも増えました。

「夕暮れの給食室と雨の中のプール」を読んでいたときには、丁度教育実習に行っていた4年生から中学校での「黙食」の給食風景写真が届けられ、最新情報を共有することができました。“cafeteria”と「給食」ということばのイメージの違いも興味深い議論となりました。「藪の中」の真犯人探し、「嵐」の奥さんの行動の倫理性、「大聖堂」の夫の変化など、様々な視点が展開しました。

最終課題では、日米混合の6グループに分かれ、紙芝居制作に取り組みました。各グループが6作品のうちの1つを担当したのですが、個別のやりとりにはPadlet以外にInstagramなどを利用してコミュニケーションを取りました。グループ内で取り上げるシーンを選び、絵を描き、原稿を作り、紙芝居風にストーリーを朗読し、それを動画にしてPadletにアップするというものでした。

事後アンケートでは、「このプロジェクトで一番楽しかったこと」として、「協働で紙芝居を作った事です。作業も楽しかったですが、向こうの学生と英語でやり取りする経験が新鮮で楽しく感じました。」「相手校の生徒さんとPadlet内で役割分担を決め、一つの紙芝居を完成させたこと」などが挙がり、最終課題での協働作業が高評価を得たようです。また、「このコラボレーションで学んだこと」としては、「文学作品を通して、英語は勿論、背景にあるものも学べたこと」、「異なる視点から見ることの大切さや、それを理解すること。相手の国(地域)の文化」「自分の考えや意見を持つ事の大切さを学びました。(中略)私には答えを出せない質問も多くあったので、日頃から何かしら疑問に対する自分の考えを頭の中で整理して過ごせたらいいなと感じました。」などの回答がありました。アメリカの大学生の分析力、批判的思考力に大いに感銘を受けたようでした。

国際学部では、今後も様々なCOILプロジェクトが試行されます。グローバルな協働作業を通して、新たな学びがあることを願っています。

<参考>

このプロジェクトで扱った6作品はこちらです。

民話

・“All God’s Chillen Had Wings” (*chillenはchildrenの意味)

・ “The Princess with the Magic Bowl” 「鉢かづき姫」*

近代小説

・”The Storm” (by Kate Chopin)「嵐」(ケイト・ショパン)

・“In a Grove” (by Ryunosuke Akutagawa)「藪の中」(芥川龍之介)

現代小説

・“Cathedral” (Raymond Carver)「大聖堂」(レイモンド・カーヴァー)

・“The Cafeteria in the Evening and the Pool in the Rain”(by Yoko Ogawa)

「夕暮れの給食室と雨の中のプール」(小川洋子)

*「鉢かづき姫」は河内の民話ということで、鉢かづきちゃんが寝屋川市のシンボルとなっていることもあり、是非アメリカの学生さんにも知ってもらいたいと思い、推薦しました。プロジェクトに先駆けて、「紙芝居」という伝統的な語りの方法の例を紹介するために、9月~10月にかけて、3年生が“The Princess Wearing a Bowl”の紙芝居と動画を制作しました。
期間限定で動画を公開中です:https://www.youtube.com/watch?v=OcO7y6ej0MQ

製作には“Learn Japanese Through Story-鉢かづき姫The Princess Wearing a Bowl” (https://www.youtube.com/watch?v=Zor4bbXfBLk)や「日本昔話―鉢かづき姫」(https://www.youtube.com/watch?v=m-lP64ITN0g)を参考にしました。

基礎ゼミナール成果発表会を開催しました



UPDATE 2023-02-24

2023年1月17日(火)に、2022年度「基礎ゼミナール成果発表会」が行われました。

 国際学部1年生が受講する科目「基礎ゼミナール」では、1クラス10数名に分かれ、それぞれのクラスで様々なテーマを設定して学習します。本発表会は、その学習の内容や成果について共有して競い合うことを目的とし、2022年度は9クラス約150名が参加しました。発表会当日は、各クラスの代表者7名が学習の成果を発表し、その内容やプレゼンテーションの力を競いました。

 国際学部教員の浦野崇央教授、橋本正俊教授、兪鳴蒙教授が審査を担当しました。審査の教員から発表内容に対する質問が出されると、発表者の学生は積極的に回答をし、他の学生は熱心に聴講するなど、緊張感のある充実した発表会となりました。

審査の結果、入賞者は下記の通りに決定しました。入賞の学生には、賞状と副賞が授与されます。

 優勝   溝川実莉さん テーマ:「幸運が訪れるかもしれないクローバータクシー」

 準優勝  長尾桃花さん テーマ:「たくさん食べる理由」

 審査員賞 

  村田優月さん テーマ:「Coffee & Life」

  福本萌さん テーマ:「ジェンダーレスの社会と市場の動向について」

  森心那さん・味本奏人さん・安永暉さん・山口琉音さん  テーマ:「大阪府の泉だこ」

 

 発表は、それぞれのテーマに対して深い関心を持ち、文献調査やフィールドワーク等の実地調査を行なっているなど、高い水準の学習到達度を感じさせてくれるものでした。

(文:古矢篤史講師、写真:加来奈奈准教授、藤原崇講師)

ウトロ地区フィールドワーク



UPDATE 2023-02-14

2022年12月3日(土)に、私たち外国語学部森ゼミナールのメンバーは京都府宇治市伊勢田町のウトロ地区を訪れました。ウトロ地区は、1940年から日本政府が推進した「京都飛行場建設」に集められた在日朝鮮人労働者たちの飯場跡に形成された集落で、住人の方々は劣悪な生活環境や差別の目に苦しみながらも助け合いながら生活してきました。


まず初めに、ウトロ地区平和祈念館で、金秀煥さん(平和祈念館副館長)からウトロ地区の歴史や現状、ウトロ地区で生きる人々の心境についてのお話を伺いました。ここでは、ウトロ地区では水道整備がなかなかされず、浸水被害が多いということ、それでも住人達は、共生こそが生きる道だと考え、「常識」にとらわれずに自分たちの権利を主張してきたことなどについて学習をしました。

続いて、平和祈念館の展示コーナーで、実際に展示パネルを見て、ウトロ地区の歩んだ歴史や、ウトロ地区で生きた人々の声に触れました。

その後、ウトロ地区全体を歩いて、2021年8月30日に発生した放火事件の跡地にも訪れました。この事件により住宅や空き家など7棟、祈念館で展示される予定だった資料50点が焼失しました。

最後に私たちが事前に送った質問に金副館長が答えて下さりました。憎悪感情を抱いたり、ヘイトクライムを唱える人たちとどのように付き合っていけば良いかという質問に対しては、「その個人に関わるよりも、そのような人々を生んだ社会に働きかける必要があると感じる。もし個人に関わる機会があれば、その人の意見をまずは受け入れることも大切だと考える」と答えられました。また、今後ウトロ地区を住民たちが力をもらえるような、楽しく賑やかな場所にしたいとのことでした。

実際にウトロ地区に足を運んでみると、インターネットで調べるよりも直接伝わってくるものが多くて、とても考えさせられる良い機会になりました。差別や偏見、ヘイトクライムのない世界にするために、また、マイノリティーの人々が幸せに生きられるように私たちにできることは何かを考えるきっかけともなりました。

摂南大学 外国語学部 森ゼミナール     アダムス小百合)

東和香奈さん(関西テレビ報道局記者)のゲスト講義を開催しました



UPDATE 2023-02-03

摂南大学外国語学部森ゼミナールでは、2022年12月13日(火)に関西テレビクリエイティブ本部報道局報道センター記者の東和香奈(あずま・わかな)さんをお迎えしゲスト講義を開催しました。当日は東さんに摂南大学寝屋川キャンパス1049教室にお越しいただき、東さんの講義をじっくり聞き、その後にゼミ生6人によるインタビューを行いました。

ゼミでは日韓関係を研究テーマとしていますが、今回私たち森ゼミが東さんをお招きした理由は、在日コリアンの方が住むウトロ地区について東さんも強い関心を持って取材に行かれていたからです。インタビューでは「記者やメディアに関する話題」と「ヘイトクライムなどのマイノリティーに関する話題」の二つに関するお話をお伺いすることができました。

 お話の中で特に印象的だったことは、メディアで取り上げられるニュース映像一つに膨大な時間がかかっているということ、そして記者という視点から物事と対峙した時に感じる葛藤についてです。東さんが担当されたウトロ地区に関するニュース映像は完成するまでに5ヶ月、ロール35本分を撮ったそうです。そしてニュースを作成する際には、見ている方にどのように自分のこととして捉えてもらうかという視聴者目線と、マジョリティ/マイノリティーの当事者からどう話を伺うかというインタビュアー目線の二つについて考えているとのことでした。またインタビューをしている際には「伝えたいことを伝えられているか」「取材が当事者にとって負担になっていないか」「自分は偽善者じゃないか」という葛藤を持っているとおっしゃっていました。自身の判断一つでニュースの見え方や受け取り方が変わるということはものすごく重いことであり、時に誰かの人生をも変えてしまうのだと感じました。

【東さんの話を聴くゼミ生の様子】

前述したように、東さんは「マイノリティー」に関する話題をいくつも取り上げニュースにしています。その中でも私たちの研究テーマ関連で、在日コリアンの方が住む京都市宇治市伊勢田町ウトロ地区についてのお話も伺いました。私たちもゼミのフィールドワークの一環としてウトロ地区を訪問しましたが、直接ウトロ地区に住んでいる方のお話を伺えたわけではないので、東さんから間接的に聞くことができてさらに理解が深まったように感じました。私自身はウトロ地区に対してヘイトクライムのような偏った考えは持っていませんでしたが、自分の目で直接見て、平和祈念館副館長の解説を聞き、さらに当事者の方にインタビューした方のお話を聴くことによって改めて「知る」ことの大切さを感じました。同時に無知への怖さも感じました。

インタビューでは、私たちが事前に用意していた質問にも快く答えてくださりました。そしてインタビューの中で東さんがおっしゃっていた「客観的な代弁者」になりたいという言葉に大変感銘を受けました。記者の方と交流し意見を聞くことが出来た貴重な経験でした。

【ゼミ生と東さんとの写真(前列左から二番目が東和香菜さん)】

(文:森ゼミ 神谷亜伶)

シンポジウム「新時代を生き抜くための「グローバルリテラシー」」が開催されました



UPDATE 2022-07-25

2022年6月18日(土)、国際学部開設を記念して、シンポジウム「新時代を生き抜くための「グローバルリテラシー」」が開催されました。国際学部は、グローバル化する世界の中で、困難な課題を乗り越えていくための新たな「グローバルリテラシー」をもつ知的専門職業人の養成に取り組んでいます。今回のシンポジウムでは、そのモデルに相応しい二人の講師をお招きしました。

早稲田大学国際学術院国際教養学部教授の陳天璽(ちん・てんじ)氏には、「無国籍者から国際社会を問う」というタイトルで講演いただきました。陳天璽氏は「無国籍ネットワーク」代表理事として、実践的な活動も行っています。講演の冒頭ではまず、無国籍のイメージや国籍の概念について解説がありました。その上で、現代社会において、出生地主義や血統主義で国籍が与えられる各国の制度の結果や、移民や難民の状況などにより、無国籍者が生まれうる多様な状況を説明されました。そして、ご自身の経験やこれまでの活動を通して関わってきた国籍がないことで生じる様々な問題について紹介されました。さらに、小さな諸島で国籍に関係なく生きる人々についても示されました。これらの話を踏まえて、現在の国籍が過度に重視される社会に対して問題を提起されました。グローバル化する世界において、国籍の問題は必ず生じることであり、我々はそれを理解する必要があります。そのために教授が取り組んでおられる活動についても紹介され、特に最近の活動として「無国籍」という問題について子供たちに知ってもらうための絵本を作成した経緯についてもお話しされました。国民国家の限界があらわになり、グローバル化がますます進む中で、「無国籍」を特殊な一部の問題でなく、我々が生きる社会の一部としてとらえ、どのように良き社会を作るのか。講演を通して、強いメッセージが伝わってきました。

特別非営利活動法人パルシック理事の伊藤淳子(いとうじゅんこ)氏には、「モノが繋ぐ世界~「琥珀色の向こう側」に20年~」というタイトルで、東ティモールでの活動の背景やフェアトレードの具体的な取り組みについて、ご講演いただきました。東ティモールの主要な作物はコーヒーです。コーヒーに関わる問題は、世界のコーヒー消費国の上位に入る日本にも繋がる問題でもあります。「日本で飲む1杯のコーヒー代金のうち、たったの0.4%しか現地のコーヒー農家の収入にならない」という話は、かなりインパクトのある内容でした。そうした中で、生産する途上国と消費する先進国と間の持続可能な取り組みとして注目されるのが、フェアトレードです。伊藤氏は、20年間のパルシックの活動を通して、コーヒー生産者の協同組合を作ったことや、得たプレミアム(奨励金)により上水道の整備などを行った活動を紹介されました。しかしながら、20年の取り組みを通して、まだまだ消費国優位の状況は変わらず、コーヒー農園だけの収入では生活が困難なために若者が流出する問題があるなど、現状でも多くの課題があります。こうした中で、「生産者に変化を求め続けるだけでいいのか」という問いが投げかけられました。講演を通して、日常において飲むコーヒーは世界とつながっていることを実感し、最終的にモノを消費する立場にいる我々に何ができるのかを考えることにも繋がりました。

 二人の講演を受けて、ディスカッサントである本学部の田中悟准教授は、「グローバルリテラシー」を考えるうえで重要なこととして、自分たちの知っている世界の向こう側を想像することや、さらに、グローバルな世界で生きぬくためには知らないものとの間に立ちはだかる「壁」をどのように穴をあけるかということをあげました。今回の2つの講演は、何を手がかりとして「向こう側」に思いをはせ、どのように「壁」に立ち向かっていくのかを知るためのケーススタディだったといえます。その後、田中准教授や参加者からの質問があり、それに対して、講演者の二人には、さらなる現在の問題、我々にできること、そして、未来への可能性など多くの視座を提示していただきました。グローバル化し、世界がますます繋がる現代社会において、我々がどのようにお互いを信頼しあいながら新しい世界を作るのか、お二方のご講演を通じて、そのために必要な「グローバルリテラシー」を考えるうえで重要な手がかりとなるヒントが示された、本学部にとっても意義深い内容のシンポジウムとなりました。

(国際学部准教授 加来奈奈)

バイリンガルでITPC訪問を報告します!



UPDATE 2022-06-07

5月に在大阪インドネシア総領事館 インドネシア貿易振興センター(ITPC  https://itpc.or.jp/ja/)を訪れた、外国語学部のインドネシア・マレー語専攻学生の3・4年生たち。その体験を、インドネシア語と日本語のバイリンガルの報告レポートにまとめてくれました。さて、卒業生の川原さんがいらっしゃるITPCで、どんなことを体験したのでしょうか?

<徳見さん> 

僕は5月18日にITPCインドネシア貿易復興センターを訪問した。僕がもともと抱いていたイメージは、大阪にある機関なので日本人スタッフも多いのではないかと想像していた。しかし日本人職員は一人。ここでの共通語はインドネシア語だった。その日本人職員川原さんの通訳で2国間の貿易の説明を受けた。この機関は2国間の会社の間に立ってマーケティングした情報の提供をすること。そして展示会でインドネシア製品を薦めるなどがこの機関の役割だと教わった。また学外での共通語インドネシア語の空間は滅多にないので非常に良い勉強の機会になった。この訪問で貿易を通した2国間の繋がりを学ぶことが出来た。

Saya mengunjungi ITPC di Osaka pada tanggal 18 bulan Mei. Sebelumnya saya pikir staf orang Jepang tidak begitu sedikit, karena ada di Osaka. Ternyata ada hanya satu staf orang Jepang, namanya Ibu kawahara. Di situ bahasa Indonesia digunakan. Lalu Bapak RM Dicky Farabi menjelaskan tentang perdagangan antar Indonesia dan Jepang. ITCP membantu perusahaan yang mengharapkan ekspor buatan Indonesia ke Jepang. Dan ITPC menawarkan buatan Indonesia di acara seperti Expo. Di ITPC tidak bisa berbahasa Jepang, jadi kesempatan ini menjadi pengalaman yang berharga untuk belajar bahasa Indonesia.

<西岡さん>

ITPCでは、たくさんのインドネシアの商品について知ることができました。例えば、工業品や、シーフードの商品はインドネシアの輸入品が多いことがわかりました。また、SDGSの商品もありました。牛乳パックで作ったバックは、かわいかったし、竹で作ったストローは軽くて、マイストローとして使ってみたいと思いました。また、ITPCでインドネシアの料理が食べることできるイベントがあるので、行ってみたいと思います。ITPCにいくことができて、良かったです。

Saya sudah bisa pergi ke ITPC dan bisa tahu tentang berbagai produk Indonesia. Khususnya produk tas yang terbuat dari  kardus susu, produk sedotan dari bambu yang cantik dan menarik.

Kemudian saya juga bisa mendegarkan tentang perbedaan budaya bisnis Indonesia dan Jepang dari bapak Direktur utama.

Misalnya, cara membungkuk dan cara menyerahkan uang.

Saya bisa belajar dan menyenangkan sekali.

<田中さん> 

私は先日ITPC大阪へ行きました。私はそこでお話を聞き、インドネシアのたくさんの製品を見ました。特に印象に残ったのは竹製品です。スプーンやフォーク、ストローがありました。持続可能な生活を楽しく取り組めるような製品を作っているらしいです。帰りにお土産をもらったのですが、体調が悪くまだ食べれていません。食べるのが楽しみです!

Saya pergi ke ITPC Osaka.

Saya melihat banyak produk Indonesia di sini.

Saya sangat tertarik sedotan dari bambu produksi Bali.

Ini sedotan sustainable dan baik untuk bumi.

Saya mendapat oleh-oleh dari ITPC.

Karena saya masih sakit, jadi, saya belum bisa makan kue itu.

 

<岡田さん> 

 まずはお土産にいただいたお菓子の話をします。鶏皮の方は絶対にビールが合う味ですね。イカフライは辛すぎて笑ってしまいました。一つ食べてすぐに砕きました。

 今回の訪問で私は ゴム ニッケル イカ エビ カニ コーヒー がインドネシアから日本に来ていることを知りました。このうち、エビとコーヒーについて気になったことがあります。

 インドネシアには クルプックというえびせんべいがありますよね。日本にも「かっぱえびせん」というものがありますが、この中にインドネシア産のエビが入っている可能性はありますか。インドネシアのコーヒーは どのくらいの値段で取引されていますか。マンダリンとジャコウネココーヒーなら、倍以上の差がありそうですね。

 このような貴重な機会を作って頂き本当にありがとうございました。いつかこの経験が役に立つ日が来ますように!

Pertama saya akan berbicara tentang kue yang saya terima sebagai oleh-oleh. Yaitu kulit ayam goreng, Bir cocok dengan kulit ayam ini. Berikutnya, Basreng (Bakso goreng) terlalu pedas dan membuatku tertawa. Saya makan satu dan segera mengunyahnya.

Selama kunjungan ini, saya mengetahui bahwa karet nikel, cumi-cumi, udang kepiting dan kopi didatangkan dari Indonesia ke Jepang.

Soal udang dan kopi di Indonesia ada kerupuk ada, bukan?

Ada juga Kappa Ebisen di Jepang. Apakah udang Indonesia digunakan di dalamnya?

Bagaimana perdagangan kopi Indonesia?

Tampaknya ada lebih dari dua kali lipat perbedaan antara kopi Mandarin dan kopi Luwak. Terima kasih banyak sudah mendapat kesempatan yang begitu berharga.

Semoga saatnya tiba ketika pengalaman ini berguna!

訪問の様子は、こちらの記事にも

「インドネシア貿易振興センターを表敬訪問しました」

https://www.setsunan.ac.jp/~kokusai/foreignstudies/topics/detail.php?id=417

インドネシア語で総領事館の公式インスタに登場!



UPDATE 2022-01-22

本学部でインドネシア語とマレー語を学ぶ3年生(撮影当時)4人の動画が在大阪インドネシア共和国総領事館の公式インスタグラムに投稿されました。流暢なインドネシア語で元気よくインドネシア製の菓子商品を紹介しています。

当総領事館によるインドネシアの商品を日本に紹介する企画で、当総領事館と親交のある本学部非常勤教員エニ・レスタリ先生が当総領事館と本学部を繋げてくれました。投稿動画を見ても授業で普段から学生が楽しく学んでいる様子がうかがえます。

(写真:左から江口さん、小川さん、深津さん、西さん)

在大阪インドネシア共和国総領事館の公式インスタグラム