2022年4月、国際学部の第一期生となる新入生260名を迎え、大学の仕組みや履修方法など様々な情報を伝えるための新入生ガイダンスが始まりました。今年は入学式前後にキャンパスのソメイヨシノの桜が満開の、華やかな1週目となりました。
UPDATE 2022-01-20
ジョルジョ・アガンベン『オプス・デイ 任務の考古学』2019年、以文社
〔Agamben, Giorgio, Opus dei, Archeologia dell’ufficio, Homo sacer, II, 5, 2012, Boringhieri, Torino〕
ジョルジョ・アガンベンの著作『オプス・デイ 任務の考古学』(以文社)の邦訳が出版されました。翻訳は国際学部の杉山が担当しました。アガンベンの名を世に知らしめた『アウシュヴィッツの残りのもの——アルシーヴと証人』(1998年)以降、このイタリア出身の哲学者は世界でもっとも著名な思想家のひとりであり続けています。アガンベンが一貫してあきらかにしようとするのは、人間の存在がさまざまな機制にとらわれている理由と、その人間が自由になりうる条件です。
ラテン語で「神のわざ」という意味の『オプス・デイ』(2012年)は、上記テーマに「仕事」(任務)という切り口で取り組みます。たとえば本書が問うのは、わたしたちは「なぜ仕事に対して疎外感を持つのか」、そして「なぜ仕事を効率よくしようと躍起になるのか」ということです。この疑問をふまえてアガンベンが注目するのはキリスト教のミサ(典礼)でした。
キリスト教の長い歴史のなかで、ミサを執りおこなう司祭の定義はつねに問題含みです。まず、処刑されたのちの復活に代表されるキリストの行為は、ただ一度きりの奇蹟です。しかし、信者を統率しなければならない後世の司祭も、その仕事(聖務)がなんらかの奇蹟であることを求められます。そこで初期キリスト教の指導者(教父)たちは、司祭をキリストその人による行為を代わりにおこなう存在として定義します。たとえば洗礼という仕事は、司祭その人の行為はただ水をそそぐだけであっても、それがキリストその人の行為であるからこそ、信者は神の恵みに満たされるというのです。こうしてひとつの仕事がふたつに分割された結果、ひとりの人間でもある司祭はとても微妙な状況に陥ります。なぜなら、神の恵みを有効にする道具のようななにかになる彼らは、みずからの生と行為が切り離されたまま存在し続けるからです。
アガンベンによると、この生と行為の切断がほぼそのまま現代のわたしたちにインストールされているからこそ、疎外感と実効性が仕事に張り付くことになりました。本書においてこの洞察は、哲学、法学、倫理学の領域で検証されます。文体はやや難解かも知れませんが、内容はわたしたちにとって切実な問題を扱っています。
また装丁はバロックの画家ジュゼッペ・マリア・クレスピの《聖体拝領》(1712年)というすばらしい作品です。わたしは担当編集にお願いして、かなりムリをしてこの作品の図像をカバーに使用してもらいました。描かれているのは「聖体拝領」という仕事の場面ですが、画面中央に位置する司祭の描写はとても示唆的です。アガンベンの議論とよく響き合うイメージになっていますので、本文に疲れたらこの想定をぼんやり眺めるだけでも、なにかしらの感想が思い浮かぶのではないでしょうか。
UPDATE 2022-03-20
https://www.youtube.com/watch?v=QoJ13QwbW-k
卒業生でプロダンサーの近江聡太さんが、2021年12月にパリで開催されたブレイクダンスの世界大会「BATTLE PRO WORLD FINAL 2021」にて、チームBODY CARNIVALとして優勝しました。
在学中からダンサーとして国内外で活躍していた近江さんは、官民協働留学促進キャンペーン「トビタテ!留学Japan」(8期)の奨学生としてアメリカに留学しました。帰国後、卒業論文で、アメリカのストリートダンスとして始まったブレイクダンスの競技化をめぐる研究に取り組みました。新入生歓迎イベントでは大阪城ホールのステージでダンスを披露してくれましたから、その姿を覚えている下級生がいるかもしれません。また、過去には、「インターネットで踊っている姿を見て感動したので、そのSotasky(近江さん)に会いたくて摂南大に来た」と言う留学生もいました。
ブレイキンの競技名でオリンピック種目になるブレイクダンス、世界大会決勝戦の様子は、こちらのサイトからご覧になれます。激しいのにどこかふんわり動く近江さんのソロは6:14ごろから。フランス語のMCがSotaskyの名を連呼しています。ブレイクダンスの掛け合いのおもしろさを味わうには、ぜひ全編ご覧ください。
UPDATE 2022-03-05
2022年2月に、国立歴史民俗博物館・花王株式会社(編)『〈洗う〉文化史-「きれい」とは何か』(出版社:吉川弘文館、ISBN:978-4-642-08406-2)が刊行されました。歴史学・民俗学を主たる研究分野とする研究機関である国立歴史民俗博物館と、清潔・衛生に関する多様な製品で知られている花王株式会社との共同研究という、人文学系の諸分野では大変珍しい産学協同による共同研究の成果です。日本を中心としながら、タイおよびインドネシアとの比較を試みるという構成の共同研究に私(金子正徳・国際学部特任准教授)も参加し、本書ではインドネシアに関する章を担当しました。
本の概要については出版社の説明を引用することとします。
「私たちはなぜ「洗う」のか。洗うという行為、清潔という感覚を古代から現代にいたるまでさまざまな事例を取り上げ、文献・絵画・民俗資料から分析。また、儀礼・信仰の世界での「祓う」「清める」といった行為の意味を追求し、精神的な視野も交えて、日本人にとって「きれい」とは何かを考える。現代社会の清潔志向の根源を、歴史と分析科学から探る。」(http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b598240.html)
この本は一般向けの書籍です。歴史学、民俗学などの多様な研究者が執筆しているほか、花王株式会社の方々もそれぞれの専門性を活かしたコラムを書いている点がユニークな特徴です。
本学の学生たちにとって、この本が、身体や衣服を「洗う」という行為をめぐる歴史的・文化的な変遷、そして現代的な意味を多様な角度から捉え直し、私たちの生活の中で「もはや当たり前のこと」をあらためて考えるきっかけとなればと希望します。
UPDATE 2022-02-01
2017年に外国語学部を卒業した橋本倖太郎さんは、ANAエアポートサービス株式会社で、現在、羽田空港グランドスタッフとして働いています。大学に入った時からエアラインで働くことを目指し、着実に準備を続けてきた彼は念願のグランドスタッフとして2017年に入社しました。入社6年目の昨年10月19日、羽田空港のグランドスタッフ約2000人の中から選ばれた27人の精鋭の1人として、「おもてなしNo.1」を決める「Haneda’s Prideコンテスト」に出場しました。
コンテスト本番の様子をYouTubeでご覧いただけます。橋本さんの英日バイリンガルの臨機応変で楽しいおもてなしと、インタビューがあります。出番は 2:01:31から。
Travel Online News
橋本さんからの手紙を、<ANA>ページに掲載しています。
UPDATE 2022-01-22
本学部でインドネシア語とマレー語を学ぶ3年生(撮影当時)4人の動画が在大阪インドネシア共和国総領事館の公式インスタグラムに投稿されました。流暢なインドネシア語で元気よくインドネシア製の菓子商品を紹介しています。
当総領事館によるインドネシアの商品を日本に紹介する企画で、当総領事館と親交のある本学部非常勤教員エニ・レスタリ先生が当総領事館と本学部を繋げてくれました。投稿動画を見ても授業で普段から学生が楽しく学んでいる様子がうかがえます。
(写真:左から江口さん、小川さん、深津さん、西さん)