第7回 国際文化セミナーが開催されました



UPDATE 2023-11-01

 10月7日、国際文化セミナーが開催されました。本セミナーは、2022年度に開設された国際学部の学びと所属教員の研究活動について学内外に広く紹介するもので、今回はその7回目です。「地理学の可能性〜フィールドワークからのアプローチ〜」をテーマとして、本学国際学部の講師2名が自然地理学と人文地理学の分野におけるそれぞれの活動の内容を紹介しました。

 大谷侑也講師は、「気候変動とアフリカ ―「熱帯の氷河」に焦点を当てて―」という題目で、ケニア山とキリマンジャロ山での文理融合的な研究調査の成果を、現地の写真や映像を交えて報告しました。人類が直面する気候変動や地球温暖化を象徴するように、ケニア山の氷河は非常に速いペースで縮小しており、10~20年後には消失すると予測されています。この氷河縮小と周辺の水環境の関係性を記録するためのモニタリング調査について、炭素安定同位体を用いた土壌成分の分析や高山植物の枯葉の分析といった具体的な方法を示しながら、わかりやすく解説しました。

 

 小林基特任講師は、「人が生きる空間、場所、世界―市民活動拠点とのかかわりから考える―」という題目で、この四半世紀あまり地理学が課題としてきた「どうすれば空間に人間性を復活できるのか?」ということについて講演しました。自身のフィールド調査の事例を紹介しながら、“無味乾燥”な「空間」の科学としての地理学の枠を超えて、人が関わり調和していく人間らしい「場所」を考える、新たな地理学への志向を示しました。

  今回は国際学部の基礎ゼミナールの一環として1回生も聴講し、質疑応答では、フィールドワークにおける難易点や今後の展望などについて応答がありました。

 文理社の領域の枠にとらわれない研究活動の実例にふれることは、“国際学”という一見つかみどころのない学際的分野の面白さと同時に、それを前提として幅広い関心と知識を要求するものであるという現実に気づかされる良い機会になったことでしょう。

(国際学部講師 安達直樹)